2013年01月15日

前橋の夜

姉と姪が甥のサッカーの試合の応援に前橋に行くというので、
わたくしも合流してきたお話です。
合流後夕飯をどうするかという話になりまして、
ググりながら目ぼしい店に電話をかけるもお休みらしく応答なし。
2軒続けてそうなるともう朝鮮飯店でええわ!と半ギレになりながら
タクシーを捕まえに行きました。
駅前で客待ちしているタクシーに乗り込みます。
ここで姉が運転手さんにどこか美味しい料理が食べられる所はないかと訊ねました。
少々漠然とした質問過ぎたので、
・ラーメン以外
・子供も入れる店
・運転手さんの美味しいと思う店
以上3点を付け加えました。
すると運転手さんが奥さんと時々行かれるという居酒屋をオススメされました。
2名で飲んで食べてで5,000円くらいとお値段も手頃です。
ということで車をそちらに走らせてもらうことになりました。
店に着くまでの間、オススメ料理を聞いてみました。
すると出てきた答えは予想を上回るものでした。
運転手さん「オススメねえ。うーん。窒息鴨!」
わたくし達「ちっそくがも?」
居酒屋と聞いていたのでてっきり煮込みや刺身などが来ると思っていたのに、
鴨。しかも窒息。
運転手さんの説明によると、
窒息鴨とは通常行うであろう頚動脈の切断による血抜きをしない屠殺方法らしいです。
血抜きをしないと生臭くなるのではないかと思うのですが、
オススメのようですから是非とも食べねばなりません。
他のオススメも聞いてみました。
「うーん。日本に10頭くらいしかいないとかいう珍しい牛だか豚だか何だかのアレ」
おそらく家畜の何かだと推測しますが、窒息鴨と違って要領を得ません。
運転手さんは真面目に親切に教えてくれたのですが、
店に着くまでわたくしはもう腹筋が痛くて仕方がありませんでした。
そして到着したお店は古粋というお店でした。
店の作りはカウンターと座敷の1階、階段を登って2階もあるようです。
居酒屋というよりは小料理屋のような雰囲気です。
座敷に座ってメニューを拡げると、
そこには運転手さんオススメの窒息鴨の文字がありました。
正確には『窒息鴨の塩焼き』というメニューです。
それと『梅山豚(メイシャントン)の炙り』というのもありました。
おそらくこれが運転手さんの言うところの
『牛だか豚だか何だかの珍しいアレ』だと思われます。
限定2食ですからこちらも頼むことにしました。
というかメニューに載っているもの全てか美味しそうなので、
上から順番に全部オーダーしたいくらいでした。
本当に。
そしてその考えは正しいことが続々と来る料理でわかりました。
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白身魚の酒盗和え
最初に来たのがこちらでした。
酒盗という文字に魅かれて注文です。
日本酒が飲めたらなーと思う一品です。
酒盗をちびちび舐めながら、日本酒をちびちび。
わたくし達はビールでしたけどね。
発酵のうまみって素晴らしい。
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豚鍋
鍋は水炊き、豚、牡蠣の3種から選べました。
料理を注文することに関しては優柔不断な姉が一瞬で決めました。
豚バラ、白菜、豆腐、ネギ、春菊に胡麻がぱらり。
はふはふ。うまうま。
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牛すじ豆腐
見た目は味が濃そうですが、さほど気になりません。
やや甘みを感じる煮込みです。
白飯にぶっかけて食べたいというのが全員一致の意見でした。
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窒息鴨の塩焼き
出ました。窒息鴨。
きれいな赤味がかった肉。
今まで食べた鴨はもっと味の濃い癖のある味がしていましたが、
その良くも悪くも鴨の特徴になりそうなジビエ臭がしないと思いました。
目を瞑って食べたら鴨と判る自信がありません。
かといって鶏肉にしては味がしっかりしているし。
不思議・・・。
これすんごく美味しいです。
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梅山豚の炙り
はい。アレです。
豚バラ部分を炙って茗荷をトッピング。
柚子胡椒でいただきます。
うまー。
ご飯ください。
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焼きおにぎり
これを注文する前に姉がどんな焼きおにぎりなのかを聞きました。
表面だけ味が付いているタイプか、それとも中まで味が付いているかと。
大葉、胡麻を混ぜて両面を炙ってたまり醤油で味付けしてあると説明を受け
即注文しました。
これが今夜わたくしの中で一番のヒットでした。
中までしっかり味がします。
ここにチーズを入れても美味しそうです。
焼きおにぎりってこんなに美味しいのかったのね。
マヨネーズとレモンをかけても美味しいそうです。
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牡蠣の味噌焼き
甘い味噌がかかった牡蠣が昆布の上に乗っています。
もしかしたら昆布の上で炙り焼きしたのかしら。
勿論昆布もいただきました。
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〆は豚鍋のスープで雑炊
鍋の後の雑炊は最高です。
小さく切った豆腐と卵、ネギが入っていました。
もう全員満腹&満足です。
最後にお店の方に窒息鴨について聞いてみたら、
こちらの窒息鴨はフランスのビュルゴー家のシャラン鴨だそうです。
かのトゥールダルジャンの鴨もこれです。
そんな鴨が980円で食べられるおちらのお店、
前橋に行ったらまた寄りたいお店となりました。
運転手さんどうもありがとうございました。

2013年01月01日

新橋行脚

このお話は、新橋はサラリーマンの聖地であることが
目の前で立証されたところから始まります。
友人と新橋で飲むことになりましてSL広場で待ち合わせをしました。
広場にあるSLの周辺に近づくと、苦手な臭気と白い煙が漂っています。
SLの回りをぐるりと取り囲む形で、仕事帰りのスーツ姿の男性陣が
ぷかぷかの煙草を吸っているのです。
もう臭いのなんのって。
近年、喫煙者が肩身を狭い思いをするようになった世の中ですが、
新橋はまだまだ煙スポットが健在でした。
とてもじゃないけど煙草の臭いに耐えられそうもないので、
すぐそばのマツキヨに入りました。
ここでもまた新橋らしいと思わせる光景に出会いました。
時刻は17時過ぎ。
マツキヨに入ってくるスーツマン達は、
次から次へととある飲料の扉を開け、買ってその場で飲み干すのです。
スーツマンの手に握られる飲料は決まってウコンの力ヘパリーゼです。
それを買ったそばから一気に飲み干し、
飲料保管ケース前にある専用ゴミ箱に捨てていくのです。
これは圧巻でした。
1分で何人がそれを買っていったことでしょう。
わたくしもウコンの力を1本飲み干しました。
合流した友人も例に倣って飲み干しました。。
新橋の通過儀礼です。
喫煙場所でなければ吸い辛くなったため寒気に晒されながら紫煙を燻らし、
仕事の後は肝臓を労わりながら酒宴の付き合いへ。
ああ、サラリーマン哀歌なり。
肝臓ケアをした後はお目当ての店へ向かいます。
途中赤ひげ薬局の前を通りがかりました。
「今立ってた人、あの似顔絵そっくりだったよね」
「実際の効能はどうなんだろうね」
「リアルな使用者の声を聞きたいよね。誰か経験者いないかなー」
「いても言いづらいだろうねえ。でも聞きたいよねー」
そんな会話をしながらビアライゼ’98に到着です。
【ビアライゼ’98】
カウンターと広いホールのお店で、
雰囲気は今時のビアバーではなくビアホールっぽいです。
お店の方々は家族経営のような温かさ。
ここのオーナーのビールの注ぎ方をじっくり見てみたかったので、
カウンターに陣取りました。
目の前には珍しい氷冷式のサーバー。
氷水でゆっくり冷やすとビールあの味を損なわないのだとか。
ビールグラスに勢いよく注ぎ、泡を取り除きます。
しばらくしてからまた注ぎ規定量まで入れて、また泡を取り除きます。
泡はグラスを伝って下に垂れているところを手を受け皿にしながら、
供して下さいました。
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久しぶりのバスペールエールは2杯目くらいで
これは美味しいです。
アサヒのビールが主力タップですが、
そのアサヒのビールがとても美味しゅうございます。
友人曰く『げっぷが出ないビール』と言ってましたが、
本当にその通りでした。
飲んで炭酸の膨満感が邪魔しないのです。
友人2人で全種類を制覇しました。
最後の方は話に夢中で、飲み干した記憶のない空のグラスが残っていましたが。
こちらは料理も素晴らしいものでした。
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ベーコンうまうま
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名物メンチカツ
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すんごいジューシーでこのブラウンソースが最高にうまし
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下仁田ねぎの酢味噌和え
やっぱビールには肉だわー肉最高ーと言いながら完食いたしました。
世は満足じゃ。
帰る頃には満席の店内。
早目の時間に入って、名人の注ぎ方をかぶりつきで見れる
カウンターに座ることをオススメします。
【新橋ドライドック】
2軒目は日本一美味しいスーパードライを飲ませてくれるという噂の
新橋ドライドックです。
日本の食卓の邪魔をしないスーパードライ。
何にでも合うオールマイティーなビール。
わたくしは正直スーパードライが苦手です。
飲むとタイのビアチャンを思い起こさせます。なんとなく。
でもそれは品質の低下したスーパードライを飲んでいたからの評価かもしれません。
実は美味しいビールなのに、わたくしがそれに巡り合っていないだけかもしれません。
高架下のお店は満員気味で大混雑。
入れるか不安でしたが、立ち飲み場を確保できました。
早速スーパードライを注文しました。
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これが日本一のスーパードライ
美味しいです。
目隠しして飲んだらスーパードライとわからないと思います。
これにフライドポテトをつけました。
ビールと肉の相性はすこぶる宜しいものですが、
特にラガーには揚げ物が合うとつくづく思いました。
男性スタッフによるきびきびとした接客と勢いのある店の雰囲気ですが、
店内は狭いので、少人数で行くことをオススメします。

2012年12月26日

サルデーニャ料理タロス

秋口に某百貨店で開催されていたイタリア展で白バルサミコやシチリアのオリーブオイルを買って有頂天になっていたことがありました。
オリーブオイルやワインの販売に熱がこもる中、
サルデーニャ島のブースがありました。
サルデーニャとい言いますと、イタリアの西に浮かぶ島です。
わたくしの知識はそれくらいと蛆虫チーズが有名というくらいしか思いつきません。
本土と離れたサルデーニャでは
どんな料理が食べられているのか興味が湧いてまいりました。
さてサルデーニャの料理を出すお店が都内にありまして、
そちらに訪れたのが今回のお話です。
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前菜盛り合わせ
たこののマリネ、鰯のマリネなど色々盛り合わせです。
左の胡椒の隣にちらりと見えるのがパーネカラザウです。
サルデーニャの薄ーいぱりぱりパンです。
メインよりも前菜をあれこれ食べるのが好きですので、
盛り合わせはいいですね。
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こちらの名物、貝類とチェリートマトのフレーグラ
押し麦のような粒々パスタのフレグーラがサルデーニャ独特のものです。
クスクスよりも大粒です。
貝の旨味を吸い込んだフレーグラが美味しゅうございます。
余ったスープはパンに染みさせてきれいに平らげました。
貝のパスタといえばボンゴレしか知りませんでしたが、
この味は真似したいです。
ムール貝、あさり、ハマグリと。
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ケーキも盛り合わせ
たしかチーズケーキだったはずです。
ご一緒したお相手と相当喋り倒したので、
酒も入っていないのに味の記憶があまりありません。
これは珍しいことです。
料理、素材、店の内装、トイレにもサルデーニャ愛が感じられるお店でした。
ご馳走様でした。

2012年12月25日

干し大根の手触り

沢庵を漬けてみようと思い立ちました。
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手始めに2本だけ
実家では冬になりますと切り干し大根入りの松前漬けを作るために、
軒先に干しておりました。
北国ではよく見る光景だと思いますが、
年々そういう手間暇かけた作業を家庭ですることは減っているのでしょう。
今では年寄りのいる家でないとなかなか見ません。
昔ながらの保存と発酵の性質を併せ持った伝統食を絶やさぬよう
細々とですがこういうことを続けていきたいと思うのです。
大根を干して10日経ちました。
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切り干し大根の香りがたまらん
いい具合に干しあがりました。
ぐにっと半分に曲がるくらいが良いとあったので、
大根を曲げようと手に取ってみました。
冬の外気にさらされて冷たくなった感触。
水分が減り皺だらけになった皮。
表面は乾いていても中心にはまだ水を蓄えている重み。
この感触はどこか覚えがありました。
死んだ祖母の腕です。
握りしめてもはりのなくなった肉。
乾ききって老いた薄い皮膚。
細かく刻まれた皺。
二度と上がらない体温。
2ヵ月後にはこの萎びた大根は、
発酵という人類の恵みによって別のものに生まれ変わります。
そしていつかはわたくしも干し大根の手触りになる日がやって来るのです。

2012年12月24日

アジアの台所風景を目指して

今日はクリスマスイブです。
ツリーなどの飾りつけもしなけりゃケーキも食べませんが、
息子のサンタさんからのプレゼントくらいは心配しています。
それでも年に1回の東京カテドラルのクリスマスミサには行こうかしら。

ここに干し肉をぶら下げたい
画像はローストチキン用の鶏を干しているところです。
ここにチャーシューやソーセージ、ベーコンを吊るしたいですね。
クリスマスプレゼントに発酵部屋が欲しいです。

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