2013年04月06日
私の生まれ育った町・沼垂(ぬったり)は発酵の町と言われておりまして、
味噌、醤油、日本酒、納豆などの発酵食品が今も作られています。
そこをアメリカ人が訪ねるという動画がありまして、
これが大変素晴らしいです。
観光PRが今ひとつ苦手と思われる新潟ですが、
日本料理は世界中で人気がありますから、
外国人にアピールするにはこういう切り口でいくのはとても面白いと思います。
日本酒の香りを嗅ぎながら歩いた通学路。
友達の家へ行く途中で醤油の香りが立ち込めると、
ここが折り返し地点。
食卓に上る納豆は朱色のパッケージで粒も大きめ。
色々なことを思い出しながら動画を観ました。
自分が住んでいた町がこんなに魅力溢れる要素があったことを知るのに
30年以上の月日が経っていました。
毎年3月に有名な『酒の陣』が開催されていますが、
それ以外で新潟に来ることがありましたら、
レンタサイクル(3時間100円)で沼垂の町を回ってみてください。
発酵食品以外にも、沼垂の朝市、
空いた市場の店舗を再利用してのカフェや惣菜屋さんもあります。
そして私の作る料理は発酵ものが多く、大好きなビールも発酵食品。
やりたいお店のコンセプトを展開するための土壌が沼垂にはあります。
無理に東京にいなくてもという気もしないでもありません。
それとも沼垂を東京に持ってくるか。
考えることがたくさん出てまいりました。
村上の鮭。これも発酵食品
2013年03月09日
先日たんかんなる柑橘類が送られてきました。
送り主曰く、皮と実が離れづらいのでジュースにすると良いとのこと。
アドバイスどおりに12個全て絞り、シノワで越して息子に飲ませました。
「美味しい!!」
偏食家の息子が一気に飲み干しまして絶賛しました。
わたくしも一口飲んでみると、
みかん程ではありませんが、甘味が強くて香りも良いです。
これは美味しいです。
当然1ダース分の果汁は翌朝には全て飲みつくされました。
数日後。
冷蔵庫にみかんといよかんがありました。
インフルエンザ罹患中の息子のビタミン補給に、
これらを絞ってブレンドしてみました。
ついでに紙パックの濃縮還元ジュースもコップに入れてみました。
↓
左がいよかん、みかんのブレンド。右はパックの濃縮還元オレンジジュース
品種も色も違うので比較実験にはなりませんが、
息子に両方飲んでもらってどちらが美味しいか聞いてみることにしました。
「こっち!全然違う!」
息子が選んだのは左のブレンドジュースでした。
両方一口飲んですぐ答えたので、相当味が違うのでしょう。
香りも乏しいですし。
子供の味覚は侮れません。
2012年12月25日
沢庵を漬けてみようと思い立ちました。
手始めに2本だけ
実家では冬になりますと切り干し大根入りの松前漬けを作るために、
軒先に干しておりました。
北国ではよく見る光景だと思いますが、
年々そういう手間暇かけた作業を家庭ですることは減っているのでしょう。
今では年寄りのいる家でないとなかなか見ません。
昔ながらの保存と発酵の性質を併せ持った伝統食を絶やさぬよう
細々とですがこういうことを続けていきたいと思うのです。
大根を干して10日経ちました。
切り干し大根の香りがたまらん
いい具合に干しあがりました。
ぐにっと半分に曲がるくらいが良いとあったので、
大根を曲げようと手に取ってみました。
冬の外気にさらされて冷たくなった感触。
水分が減り皺だらけになった皮。
表面は乾いていても中心にはまだ水を蓄えている重み。
この感触はどこか覚えがありました。
死んだ祖母の腕です。
握りしめてもはりのなくなった肉。
乾ききって老いた薄い皮膚。
細かく刻まれた皺。
二度と上がらない体温。
2ヵ月後にはこの萎びた大根は、
発酵という人類の恵みによって別のものに生まれ変わります。
そしていつかはわたくしも干し大根の手触りになる日がやって来るのです。