2012年12月25日
干し大根の手触り
沢庵を漬けてみようと思い立ちました。
手始めに2本だけ
実家では冬になりますと切り干し大根入りの松前漬けを作るために、
軒先に干しておりました。
北国ではよく見る光景だと思いますが、
年々そういう手間暇かけた作業を家庭ですることは減っているのでしょう。
今では年寄りのいる家でないとなかなか見ません。
昔ながらの保存と発酵の性質を併せ持った伝統食を絶やさぬよう
細々とですがこういうことを続けていきたいと思うのです。
大根を干して10日経ちました。
切り干し大根の香りがたまらん
いい具合に干しあがりました。
ぐにっと半分に曲がるくらいが良いとあったので、
大根を曲げようと手に取ってみました。
冬の外気にさらされて冷たくなった感触。
水分が減り皺だらけになった皮。
表面は乾いていても中心にはまだ水を蓄えている重み。
この感触はどこか覚えがありました。
死んだ祖母の腕です。
握りしめてもはりのなくなった肉。
乾ききって老いた薄い皮膚。
細かく刻まれた皺。
二度と上がらない体温。
2ヵ月後にはこの萎びた大根は、
発酵という人類の恵みによって別のものに生まれ変わります。
そしていつかはわたくしも干し大根の手触りになる日がやって来るのです。
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