2009年01月14日
説明することの難しさ
年を追うごとに、
人との会話の中で「アレ」だの「何ちゃら」だのという言葉を多用するようになり、
指示代名詞で会話を成立させるようになったらおしまいだと思い始めましたが、
中島らもの明るい悩み相談室で
「私の友人に擬音語だけで会話をする人がいます」
という中島らもの文章を思い出し、
まあそれもアリかなと考え直したりしているうちに、
1月の連休も終わりました。
モンブランが栗のケーキであるということは、
イングヴェイと言えばストラトキャスターであることくらい定説だと思っていました。
しかし、美味しいモンブランを食べた友人によるそのモンブランの説明を聞くと、
「モンブランに栗が入ってた!」
と言うではありませんか。
そりゃモンブランなんだから栗でできてるんだから当然でしょう。
この人何言ってるのかしらと首を捻りました。
友人は続けます。
「いや、だから栗が入ってたんだよ。モンブランに」
もう全然説明になっていません。
ようはこういうことでした。
「栗ペーストがかかっているモンブランの中に、
マロングラッセが一つ入っていた」
『栗』と『マロングラッセ』に置き換えれば理解できたのに。
エディターソフトで置換を知っていればこんなことにならなかったのに。
この話には続きがあります。
カルディファームでスパークリングアップルジュースが売られていました。
丁度シードル作りにハマっていたわたくしは、
アップルという名前につられて眺めていました。
先程の友人にもシードルの話を熱く語っていたので、
このアップルジュースも振ってみました。
「これって何だろうね」
「これはアップルのスパークリングジュースだろう」
商品名そのまんまの説明です。
説明というより商品を読み上げただけと言いましょうか。
モンブランの説明と同じだと指摘すると、
友人は自分の傾向に気づいたようです。
更に更に続きがあります。
和菓子屋さんの前を通った時のことです。
店のガラス戸に『とら焼き』という張り紙がありました。
あんこ好きではないわたくしは普段からあん菓子には疎いのですが、
てっきりどら焼きの『゛』なしの誤植かと思いまして、
試しに友人に聞いてみました。
「とら焼きって何?」
「どら焼きの『どら』の部分が『とら』になってるんや」
すでに2回も教訓を踏まえているはずなのに、
全く変わっていないこの強固な精神は見習うべきところがあるかもしれません。
友人の説明の補足によると、
どら焼きの皮の部分である『どら』が、
とら柄模様になっているのでとら焼きとのことです。
どら焼きの皮を『どら』ということも知らなければ、
とら焼きというものが存在することも知りませんでした。
それにしても今回の例は極端ですが、
人に説明して理解してもらうことは難しいものです。
思いを言葉にしたり、口にすることを生業とする方々を改めて尊敬しました。