2008年10月14日
ターセム様々やわ
日曜日のお話です。
翌日に幼稚園の運動会を控え、
気合でも入れるべく映画でも観てやろうと思い立ち、
上映情報を調べておりますと、
何とまあターセムの映画をやっているではありませんか。
しかも新宿バルト9で18:35からと場所も時間も申し分ありません。
ターセムの映画はザ・セル以来です。
ザ・セルでは衣装と風景の美しさと、悪夢のグロテスクさに頭をガツンとやられてから
すっかりターセムファンになりました。
さて今回の『落下の王国』はどう調理されているのかしら。
これは必ず観なくてはと、ネットで事前にチケット予約をしておきましたが、
それが大正解でした。
何故ならシネコンである新宿バルト9は、
チケットを購入するのに大行列だからです。
空いている映画を観たくても、他の映画が大人気なら、
同じ列に並んで待たなくてはならないのです。
わたくしはといいますと、マルイの1階にある発券マシンで予約番号を入れて
無事チケットを入手しました。
映画館に入るとチケットブースは長蛇の列で、
空いていると予想した席は満席でした。
ネット予約をしなければ、危うく観れなくなるところでした。
で、映画についてですが、
のっけからターセムの世界に惹きこまれてしまいました
モノクロのスローモーションで、
SL、鉄橋、川に下ろされた縄、釣り下がった馬、叫ぶ人。
音楽はベートーヴェン交響曲第7番第2楽章が流れています。
クラシックとモノクロって合うんだねえ。
ヨダレを垂らしそうなくらいうっとりしながらスクリーンを眺めていますと、
赤い砂丘に白い砂地、青い空の3色が目に飛び込んできました。
これはナミブ砂漠。
ザ・セルでもナミブ砂漠のソススフレイと思われる場所が出てきましたが、
今回もロケ地で使われていました。
国旗のような3色をかなり遠くの距離から撮っているので、
砂漠に立つ人間は豆粒のように映っています。
そのトリコロールを見ていたら、
かつてわたくしがこの目で見たナミブ砂漠の色が鮮やかに蘇ってきました。
ああ、こんな色してたっけ、と。
時が経てば記憶も色も褪せるものです。
心を揺さぶられる風景はナミブ砂漠だけではありませんでした。
恐いくらいの透明度を持つ海にぽっかり浮かぶ小さな小さな白砂の島。
周りは珊瑚礁の海だけ。
体に地図の模様を浮かび上がらせるための儀式のケチャ。
山賊が川に落ちる場面は、プラハのカレル橋。(多分)
インドはニューデリーの珊瑚色のフマユーン廟。
アーグラーのタージマハルの白。
ウダイプルの湖に浮かぶ白いレイク・パレス・ホテル。
ジョードプルの青い町。
ジャイプールのアンベール城。
黒騎士がウジャウジャと出てくるゲームのような場面はアーバネリーの階段井戸。
結婚式の場面ではスーフィーダンス。
荒涼とした砂漠が湖に反転している場面は幻想的で。
どの場面も壁紙にしておきたいくらいの美しさです。
むしろプリントアウトして部屋に飾りたいくらいです。
ついでにプレゼントの包装紙にして皆を洗脳したいくらいです。
旅行者なら一度は見たことがある風景が出てくるので
そういう意味でも楽しめます。
ストーリーはまあアレがナニでどーなんですけど、
映像美を追求するならとても良い映画なのではないかと思われます。
これは大画面で見るべき映画です。
それと女の子が見る夢の中で、
人形になった女の子が頭の中身を引きずり出されれるシーンがあるのですが、
こりゃもうシュヴァンクマイエルでした。
悪趣味具合がいい感じです。
すっかり落下の王国に魅了されてしまい、
ターセム世界に引きずり込まれてまたザ・セルを観ました。
そうしたらですね、殺人鬼役があの微笑みデブでした。
昔見た時は全然わかりませんでした。
微笑みデブネタはわかる人だけわかってください。
しばらくはベートーヴェン交響曲第7番第2楽章がヘビーローテーションです。
もうこれで8回目。